![]() 石巻のばあちゃんたちは、 毎日毎日私たちに菓子パンをくれた。 遠くから来てくれて本当にありがたい、と、毎日毎日菓子パンをくれた。 それはただ甘いばかりで、正直おいしいと言える物ではなく、 食べる量がもらう量に追いつかなくて、いつも拠点に山盛りだった。 でも、それは、心。 何もかも失くして、与えるものなど何もないのに、 それでも、なお、感謝の気持ちを形にして伝えようとする、ばあちゃんたちの心。 何もかも失くしたばあちゃんたちが、私たちに渡せるものと言えば、 避難所で配られる菓子パンぐらいの物だったのだろう。 あなた方に想像できるだろうか。 ただ甘いだけの菓子パンが、命を繋ぐ術だった人たちを。 想像できるだろうか。 5ヶ月たってなお避難所から出られず、 それでも、なお、感謝の気持ちを伝えようとして、 菓子パンや缶コーヒーを、遠慮する私たちに押しつけていく人たちの心を。 食べるよりももらう量の方が多くて、日々山になっていく菓子パンを、 最後の日、私は拠点からもらって帰らなかった。 フェリーに乗れば、食べる物はいくらでもある。 禁欲生活から解放される喜びで、私はきっと、少し浮かれていたのだろう。 フェリーの中で、ばあちゃんの菓子パンのことを想った。 あの人たちは、どれほどの気持ちで、私たちにあのパンをくれたのだろう。 全てを失くした生活の中で、あのパンだけが、私たちに感謝を伝える物だったのだろう。 それを想うと泣けてきて、涙が止まらなかった。 パンをもらって帰らなかった自分が、情けなくてどうしようもなかった。 A HAPPY NEW YEAR! 全ての人に。 A HAPPY NEW YEAR! 幸せあれ。 A HAPPY NEW YEAR ! 今年こそは。 A HAPPY NEW YEAR ! たくさんの笑顔を。 More ![]() 地上に悲しみが尽きる日は無くても ラストです
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